金属イオンとアレルギーについて正しく理解しましょう

1.ニッケル

ニッケルは、私達が日常触れる機会が最も多い金属です。

そのため、最も金属アレルギーを起こしやすい金属と言われています。

ニッケルはイオン化傾向が高く、金属アレルギーパッチテストによる陽性率は18.3%と金属アレルギーリスクの最も高いものの一つです。

ピアス や ネックレス、指輪、ベルトの金具、硬貨(50円、100円)、調理器具、女性用下着の金具、化粧品…等に含まれています。特にピアスは粘膜を貫通しているため、アレルギーが起こりやすいといわれています。

アレルギーのきっかけは特に夏場に起こりやすいく、汗の中に含まれる塩素イオンで溶け出したニッケルイオンが金属アレルギーの原因となります。

 

2.クロム

クロムも金属アレルギーが起こりやすい代表的なものです。

台所のステンレス、包丁、ドアノブ、時計の皮バンド、ハンドバック や 靴等の革製品、塗装の染料…等に含まれています。クロム化合物には、3価クロム と 6価クロム があります。クロムは、人体の必須元素でもあります。例えば3価クロムが不足すると糖代謝の異常が起こり糖尿病の発症に関係する可能性も指摘されています。

歯科で使用される金属では、保険診療で使用される銀歯(12%金銀パラジウム合金)には一般的に含まれていませんが、義歯の一部、矯正用のワイヤーに含まれることがあります。クロムの金属アレルギーパッチテストによる陽性率は14.5%とされています。

 

3.コバルト

コバルトアレルギーは ニッケルアレルギーと同じような反応を示します。

ニッケルアレルギー患者の半数以上の人にコバルトアレルギーがあると報告されています(交差反応)。ピアス 指輪等の宝飾品、化粧品に含まれています。

鉄より酸化しにくく、酸にも強く、加工しやすいことから良く使用されています。コバルトは、ビタミンB12に含まれており、人体にとって必須元素です。コバルトが不足すると神経の働きが悪くなり、痺れ や 視力低下 が起こることがあります。

 

歯科でも義歯などに使用されることがあります。口腔内に使用されたコバルトは、唾液 や 酸によりイオン化(溶け出し)し、溶け出します。多くは便として排出されますが、数%程度は腸管から吸収され、その一部は汗の中に排出されます。その結果、コバルトによる金属アレルギーが発症します。コバルトの金属アレルギーパッチテストによる陽性率は14.8%とされています。

 

4.銀

銀は、金に次いで延びやすい金属です。また、抗菌作用が高いことも良く知られている性質です。銀食器 や アクセサリー 等にも使用されています。

金属アレルギーパッチテストによる陽性率は0.1%と金属アレルギーの高いニッケルの陽性率18.3%と比較すると 金属アレルギーが起こる確率は低いとされています。

良く銀のアクセサリーでアレルギーがあるとされていますが、これは、銀に反応している可能性は低く、アクセサリーに含まれるニッケル や 銅 にアレルギー反応があることがほとんどです。

 

歯科治療で使用される12%金銀パラジウム合金には、約半分に銀が使用されています。歯の土台(コア)にも銀合金が使用されることが多いです。

 

5.銅

銅でも、金属アレルギーを起こすといわれています。

歯科治療で使用される12%金銀パラジウム合金は15〜20%程度の銅が使用されています。金属アレルギーパッチテストによる陽性率は4.0%程度とされています。ニッケルほど問題は起こりにくいですが、金属アレルギーのある方の歯科治療では避けたい金属の一つです。

 

6.インジウム、イリジウム

歯科治療では、非常に高頻度で使用されている金属です。

12%金銀パラジウム合金に微量(1%以下)ですが、使用されています。

歯科治療では、その他の保険以外の金属においても このインジウムが使用されることが多いです。

 

7.亜鉛

亜鉛は、生体には非常に重要な金属です。健康な方で通常の食事取れる方には、亜鉛欠乏症は起こりませんが、高齢で極度に食事が細い方には起こる可能性があります。亜鉛は、生体に必須です。食物による亜鉛摂取は良いのですが、工業的に作られた物の摂取(使用)は避けたいものです。亜鉛はイオン化傾向の高い金属であり、金属アレルギーパッチテストによる陽性率は7.3%とされています。歯科治療で使用される12%金銀パラジウム合金にも微量(1%以下)ですが 使用されています。

 

8.パラジウム

歯科治療で使用される合金の約20%に含まれています。金属アレルギー反応が陽性となる確率の高いものです。パラジウムにアレルギー反応がある方の多くは、ニッケルにもアレルギーを持つことが知られています。

 EUを中心として、歯科治療でパラジウムを使用すること自体 問題視されており、ドイツでは小児や妊婦に対して、歯科治療でパラジウム合金、水銀、銅、銀アマルガムを使用しないように勧告しています。日本の保険診療ではパラジウムは必ず含まれています、パラジウムにアレルギー反応がある方は、基本的に金属治療は避けた方が良いでしょう。